Now Loading...

NEWS

ひとつだけ

2020.03.30|Blog

お気に入りのお洋服を着るだけで

心が踊るような気持ちになることはありますか?

 

今春個人的に一番袖を通す機会が多いこの一着は

何だかそんな気分に私をしてくれます。

 

NATIVE VILLAGE

「Inside/内面」Linen Silk Coat

beige(メーカー表記はhoney)

1(one)size

¥68,000+tax

(モデル身長153cm)

 

お気に入り理由のひとつめはネックライン。

前方からはあまり見えることのない

首に添えるような後襟のみを残したVネック。

コーディネートするインナーの首周り形状を問わずに

活かしてくれる絶妙な開き加減です。

 

2つ目はボタン。

シルクサテンの包みボタンはとても上品な女性らしさで。

個人的にも大好きなシャンパンベージュというのもポイントです。

 

3つ目はポケット。

手がすっぽり入ることはもちろん長財布も入る大容量。

少しのお出かけの際は鍵と携帯電話にお財布と

必要最低限はこのポケットに一通り入れてしまいます。

 

4つ目は袖のデザイン。

身頃から地続きで繋げた一体化型のボリュームスリーブ。

尾州で作られた拘りの生地を贅沢に使用しているだけでなく

インナーの厚みや形状を問うことが無く重ね着が可能なので

真夏と真冬以外の長期間に着用が可能なのも嬉しい。

そして何よりも肩線が無いため着用時のストレスがありません。

ボリュームスリーブを捻じりながら留めたロングカフスに付属する

身頃と同じシルクサテンの包みボタンは球体が何とも愛らしい。

 

5つ目はこのコート一番のお気に入りポイントです。

袖のボリュームに対して身頃のシルエットは量感を抑え気味に

着用時にはそのコントラストで着痩せして見えるところです。

もちろん前身頃のタックがそこに一役を果たしています。

 

INNER:susuri Chin Collar Onepiece(sold)

SHOES:R.U.「Camille」One Lace Gillie Shoes

ワンピースを重ねるような気分でレイヤード。

一重のアウターなのでそれぞれの季節に応じて

色々な重ね着を自由に楽しんでもらえるはずです。

 

例えば秋のコーデならこんな感じでしょうか。

濃ベージュは春秋のそれぞれに良い雰囲気でとても便利ですね。

 

 

世界的にも多くのファッションデザイナーを魅了する

日本で最も良質な生地を手掛けることで知られる

尾州で仕立てたNATIVE VILLAGEオリジナルテキスタイル。

リネンとネップ感が特徴的なローシルクを使用していることで

マットでサラサラとした肌当たりの仕上がりになっています。

ロープ染色による先染糸は「honey」と名付けた濃ベージュ。

ロープ染色とは糸状態で染料をまとわせるような染色法。

もちろん布そのものを染めるよりも時間と手間がかかります。

あえて深部まで染め上げないことで糸は「中白」になっています。

細かな凹凸のテクスチャーある生地表面の一部は着用とともに

少しずつその「内面/inside」の白を微かに見せてくれるはずです。

着心地も色もオリジナルテキスタイルへの拘りのアプローチも

もちろん全てお気に入りです。

 

 

INNER:NO CONTROL AIR D.P.O Blouse(this color sold)

SKIRT:kaval Silk Wool Smocking Skirt

SHOES:TACHINO CHIE「OCULI」Button up Shoes

ドルマンスリーブのブラウスもノーストレスで。

手持ちのワードローブに羽織さえすれば

アウターそのものが控えめに可愛いくまとめてくれます。

 

 

2020年3月5日にpoefuは9年を迎えることが出来ました。

こうして大好きなお洋服にまつわる物語を

変わることなく ここでお話できることを幸せに思う日々です。

 

3月は周年を迎えることもあり いつも以上に考え事が多くなります。

 

poefuがオープンした2011年3月5日

その6日後に東北での大地震がありました。

東京でも震度3以上の余震が毎日のように続きます。

 

オープン直後でのその出来事に不安な日々を過ごす中

何か特別なパフォーマンスやアクションを起こすよりも

私はお洋服の魅力とそこに込められたたくさんの物語を

お客様にお伝えすることをし続けるしかない日々でした。

 

東北で被災された方たちは着の身着のままで

明日着替えるものさえも無いというのに

私はむしろ贅沢品とも言えるお洋服を販売していることに

どうしようもなく心が苦しくなることさえもありました。

 

それから数日後にいらしたお客様からいただいた言葉に

 

「連日のニュースをテレビで見ながら私には何も出来ないと思い

街に彷徨い出たらここ(poefu)に偶然たどり着いて…

お話をされ始めたときにはお洋服なんて買っている場合では…

そう思っていたのですが私がふさぎ込んでいても仕方ない。

そう思えたらこのお洋服を着て明日から頑張れそうです!

ここにこのお店があって本当に良かったです。」

 

私にはこれしか出来ない事をそのひと言に思い知らされます。

 

9周年の3月も色々な出来事がありました。

リニューアルオープンを機にたくさんの嬉しい出来事も

ここでは書ききれないくらいに悲しい出来事もありました。

 

その悲しい出来事の直後の不思議なタイミングでオープン当初から

poefuをご愛顧いただくお客様から長文のメールが届きました。

2週間に1度くらい足繁くお越しいただいていたお客様の

それは約4ヶ月ぶりくらいの来店後にいただいたメールでした。

 

************************************************************

昨年末から沢山の宝物に囲まれた私を客観的に考えていました。

大好きなポエフで買わせていただいた
素敵な可愛いこ達をしっかり管理できるのか
みな素敵な作りてさんがしっかりお仕事したもの
持ち得た者の責任がありますね。

みな可愛いこばかりです。

しっかり身につけたい
これ以上増やしてはいけないのかもと思いはじめました。

しかし色々と暮らしにくい昨今
幸せな気分になりたくお店にうかがい沢山の幸せをいただきました。

お互いいつもと違う空気のなか
普通の営みが普通じゃないとてもストレスですね
だからこそ素敵な物に感動と幸せを求めたいです。

ポエフは幸せをくださるお店です。
いつも幸福をくださりありがとうございます。

(お客様から了承を得て掲載しております)

************************************************************

私はお洋服が好きで好きで仕方がありません。

そして同時に私は愛するお洋服たちの物語を伝えることしか出来ません。

ただその先にある大切な何かを私に教えてくれるのは

いつもその想いを届けたお客様からなのです。

 

その物語を宿した愛するお洋服たちは

ただ着るという目に見える事だけでなく

目に見えない大切な何かを

届けてくれるはずだと信じていたいのです。

 

心躍るお気に入りの一着を身にまとい

日々穏やかに過ごせるその近い未来に向けて。

私に出来るただ一つだけの事をこれからも

変わることなく一生懸命続けていけたらと思います。