2022.11.27|Blog
本格的な冬の訪れを間近に
改めてこのアウターを見直しています。
手元にあるわずかなストック在庫で
今秋冬の気分で着画を再撮影していると
今の所これ以上は見つからないから
仕方がないと諦めがつきつつも
やはりやりきれない気持ちになるのです。
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poefuオープン以来
殆どご紹介の無いダウンウエアー。
モンクレールやデュベチカ
カナダグースにタトラス
パタゴニアにノースフェイス。
もしかすると前職場で
世界の名だたるダウンブランドが
全て手に入る環境にいたことが
大きく原因している事に加えて
アパレルメーカーの作るダウンでは
なかなか「お眼鏡」にかなうものに
出会えないからかもしれません。
「中身の品質が見えない」
どこか不透明感あるダウンウエアー。
ダウンの専業メーカーや
アウトドアブランドたちは
たとえ中身が見えなくても
スペシャリストなだけに
ダウンへの信用性が高い。
高品質なダウンはそのものが
とても高価すぎるという理由で
一般的なメーカーブランドでは
なかなか手が出せません。
poefuで扱うブランドに
元々ダウンジャケット自体が
あまり無いというのも事実です。
そんな中でバイイングする
唯一(無二)な存在の
ダウンウエアーのご紹介です。
ゴーシュ
Cotton Nylon Reversible Down Coat
black (sold)
beige(sold)
navy
size 2
¥93,500(tax in)
表裏の表情が大きく異なるので
着こなしや合わせるお洋服で
使い勝手の良いリバーシブル。
規格上としての表生地側は
コーデュラコットンナイロン。
一般的にバッグなどで知られる
ザラザラとした質感の
コーデュラナイロンとは異なる
滑らかなコットンナイロンのもの。
かなり細番手の糸を高密に織った
化繊感の無いツイル組織です。
ダイヤキルトステッチを走らせた
裏生地側はポリエステルは
ダウンの飛び出しが無いように
高密度クロスを使用しています。
ボディとつながる一体化フード。
チンガードを兼ねた立体的な襟周りは
マフラーやストールを収納可能に。
フード部分にはスナップボタン。
スナップボタンを閉じるだけで
ひと回り小さくなるフード。
コンパクトなフードの見た目は
女性らしく華奢な雰囲気を
印象付けてくれます。
スナップボタンを閉じることで
厳寒の風雪が侵入しづらくなる
本来の機能面を果たしてくれます。
後頭部のベルクロテープは
コンパクトなフード作りと
着用時の視界確保の調整に。
パタンナー出身のデザイナーらしい
立体シルエットのフード成形に
最低限のデザインだけで
見た目と機能面の二役をこなす。
実にゴーシュらしい所かと思います。
本格的なダウンウエアーに
最も不可欠な防風性=防寒性。
ジップフロントを境にして
イン・アウトのストームフラップで
前方向だけでなく横方向からの
風の侵入も完全にシャットアウトする
頼もしい機能的な作りです。
小さなバッグ分の容量はありそうな
収納力抜群のエンベロープポケット。
冬場のかじかんだ手を入れるための
ハンドウォームポケットは側面に。
2way仕様がとてもありがたい。
スマートフォン収納に最適な
左前身頃のスラッシュポケット。
3つのポケットがそれぞれの役目を
的確かつ機能的に果たします。
秀逸なパターンメイクが生み出す
美しさに反するかのような動きやすさ。
もうひと工夫を加えるのは
背面ウエスト部のベルクロです。
フロントを開けた際に広がる
身幅を美しいままキープ出来ます。
リバーシブル仕様ということもあり
スピンドルなどを使用せずベルクロ。
手袋を着用したままでも片手で
想いのままにサイズ感を
瞬時に変えていただくことが可能です。
モデル身長154cm
ゴーシュデザインアイコンの1つ
メンズライクな胸ポケット。
こちらも手袋をしたままでも
スマートフォンを出し入れ出来る
やや低めの位置に深さや大きさ等
計算し尽くされたポケットです。
世界的に有名なハイメゾンで
8年のパタンナー経歴を持つ
ゴーシュデザイナーならではの
脇面のパネルパターンは秀逸です。
身体の立体を二面ではなく
四面で包み込むパネルと
前側のシームに沿えたポケットで
脇面の膨らみを抑えます。
ポリエステル面の方は
横段のダウンステッチよりも
スポーティな印象が薄れる
上品なダイヤキルトステッチ。
キルティングマシーンではなく
国内の職人が慎重にミシンで
地縫いしているというから驚きです。
ダイヤキルトステッチは
生地の地の目に対して斜め方向に
ステッチを入れるので実は難しい。
ましてや滑りやすいポリエステル。
更にそれぞれのダイヤ型の部屋に
適切なダウン量を振り分けながらの
作業は想像するだけで大変そうです。
そして皆さんが一番に心配される
「ダウンの飛び出しはないのか?」
厳密には完全に飛び出しを
防ぐことは不可能ですが
同じポリエステル布を
内側に一枚張り巡らせ
ダウンパックを施しています。
そのためダウンが出ることは
(厳密にはダウンよりもフェザー)
殆どありませんがミシンの針穴から
時折1片が出てくることがあります。
ただ更なる拘りとしては
ミシンで地縫いを続けることで
針の先端が摩耗し少しずつ針穴が
大きくなることを防ぐために
頻繁にミシン針を新しいものに
替えるという徹底ぶりです。
*万が一ご購入後に飛び出しが
多くある場合はご相談ください。
beige(sold)モデル身長154cm
INNER:BUNON
Silk Khadi Sailor Blouse
(this color sold)
DENIM:ゴーシュ
Linen Cotton Denim Wide Pants( sold)
SHOES:R.U.
「Sue」
Long Vamp Shoes
今冬の寒さ具合はいかに?
厳寒な気候になればデイリーで
欠かせないアウターの1つとして。
デニムパンツを合わせつつ
インナーはシルクブラウスで
少しフェミニンさをプラス。
ベージュに抜群な相性の2色で。
beige
ウォーム感あるやや濃い目のベージュ。
メンズライクなパンツや
少しカジュアル目な着こなしにも。
暗くなりがちな秋冬コーディネートを
温かな印象で和らげてくれる色です。
black
ダウンをスッキリと着こなすなら
やはりブラックがおすすめです。
普段着にさらっと合わせても
モノトーンでカッコよく着ても
お仕事で毎日の通勤や外回りにも。
black(sold)モデル身長154cm
INNER:ANSPINNEN
Cashmere Crew Neck Knit
PANTS:NO CONTROL AIR
Polyester Smooth
Narrow Tapered Pants
SHOES:Vialis FOR poefu
Pointed Toe T-strap Shoes
ゴーシュらしい美しいパターンメイク
動きやすくスッキリ見えるシルエットは
細身のパンツや綺麗めコーデとも好相性。
navy
しっかりと濃度のあるネイビー。
ブラックよりソフトな印象の見た目。
秋冬アウター色の中では
最も合わせるものを問わない万能色。
日替わりでお好きなお洋服を合わせて
カジュアルにも綺麗めにも
ぜひ末永くご愛着ください。
navyモデル身長154cm
INNER1:Fabrique en France
1×1 Cotton Rib Turtle L/S T
INNER2:Needles
Track Jacket
SKIRT:Pois E FOR poefu
「OPERA」Skirt Cotton ivory
SHOES:Vialis
Hand Woven Leather Pointed Toe Mule
いつものタートルにOPERAスカート
そこにもう1枚ベロアのジャージ
Needlesのトラックジャケットを。
ずっと続けている定番的なもの
poefuらしいスタイルに新たな雰囲気を。
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さてダウンウエアーの肝心要
中身のダウンのお話です。
ここはこのダウンに付属する
チケットを転載してみます。
↓
最高品質のダウンと言われているのは
極寒地に棲む水鳥から採取されるものです。
これは一羽から、たった12〜13gしか
採れない貴重品でもあります。
このダウンの毛足は長く
空気を大量に含むため
抜群の保温力を誇ります。
また湿気を良く吸収し同時に
空気層へ侵入する水滴を
素早く吐き出す
“天然のエアーコンディショナー”
としての機能も併せ持っています。
更に、原毛にダウンとしての
生命を与える精毛工程
(洗浄・乾燥・脱水・殺菌・除塵等)は
最新の技術を導入し日本国内において
丁寧に仕上げられています。
当社の製品には、このように優れた
機能を持つ羽毛の特性を長く保持し
いつまでも快適にお召しいただくため
世界で最も厳しいといわれる
日本羽毛協会の品質基準をクリアーした
羽毛のみを使用しております。
その素晴らしさは袖を通した瞬間に
お分かりいただけることでしょう。
ゴーシュ
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中身の見えないダウンウエアーに
自らの言葉でその要である
ダウンそのものの素晴らしさと
透明性を謳った品質チケット。
そのお洋服と等しく
あまり多くを語らないゴーシュが
このような品質チケットを
付帯させることは極めて稀な事です。
補足すると今回のダウンコートには
ダックダウンを使用しています。
ダウンの元となる羽毛は
羽の下の腋周りにあるわずかなもので
目には見えない何万もの枝葉に
別れた繊毛に空気が滞留し
その絶大な保温効果を発揮してくれます。
そして精毛工程を行う業者が
縫製までを一貫して行います。
その全行程を行えるのは
日本国内で1社のみです。
シーズン毎にサイズ感や
ディテールを細かに見直し
少しずつ生地を変えながら
準レギュラーのポジションで
リリースされるゴーシュのダウンウエアー。
展示会の度デザイナー泉さんは
独り言のようにこう呟きます。
「これ赤字とは言わないけれど
全くくらい儲からないんですよね…」
「儲からないのになぜ作るんですか?」
「ゴーシュを好きなお客さんに
本当に良いものを着て欲しいからです」
ブランド設立から20年を経ても
ホームページも無くSNSなどでの
情報発信も全くしていない。
デザイナー夫婦は時間が許す限り
1年中パターンを引いている。
ゴーシュにはフランス語で
不器用という意味がある。
お洋服作りに関しては類まれなる
器用さを持ち合わせていても
商業感はいつまで経っても不器用。
実は数年前の展示会からこのダウンに
更にこんな言葉が添えられていました。
「来年はもう作れないかもしれない…
うちは10万を超えるアウターを
出せるようなブランドでは無いから」と。
昨今の事情で遂にその時が来たのだと
今秋冬の展示会で直ぐに理解しました。
たとえ説得しても聞いてはもらえない。
だってそれこそがゴーシュ(=不器用)の
愛されるづける一番の魅力なのだから。
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ぜひご利用ください。