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『第三の男』再演

2023.02.05|Blog

ありがたい事に展示会シーズンになると

メーカーやブランドからいただく

沢山の新規取引のオファーや案内。

とは言え既存のお取引先と

展示会時期が重なる事もあり

何らかの大きな理由が無い限り

なかなか展示会に赴くことはありません。

 

 

いつものようにある日突然届いた

新規取引オファー1通のメール。

「LENSE」

聞いたこともないブランド名。

念のためにネット検索してみても

ブランドサイトはおろか

どんなお洋服なのかさえ分からず

何の手がかりも全く得られません。

普段は殆どする事無いネット検索理由は

文末に書いてあった一文。

「24時間アポイントOKです」

それが全ての始まりでした。

 

24時間アポイントOK……..

?笑?笑?笑の思考ループを繰り返すうちに

「さては自宅兼アトリエ兼ショールームだな」

すぐさまそう気付きましたが

敢えてこれを書いてきた謎の相手見たさと

何かしらの面白い良い方の予感を感じて

展示会に伺うことに決めました。

 

 

学芸大学に迎えに来てくれたのは

LENSEデザイナー田村匠さん。

古着のコックジャケットに

コンバースオールスターを履いた

華奢で眼光鋭い金髪の30歳前後の若者

デザイナーと言うよりはミュージシャン。

見た目で判断してはいけないと思いながら

正直なことろ第一印象は

あまり良くありませんでした笑

 

学芸大学駅から徒歩15分住宅街の一軒家

コンクリ打ちっぱなしのお洒落な外観。

やはり想像通り1階はショールーム

2階は制作場所で3階を住居にしています。

「24時間アポイントOK」の謎解きはOK

さて….肝心要は洋服も面白いかどうかです。

 

 

LENSE FOR poefu

Wool Linen Flare Coat

black / grey

0 / 1 / 2 size

¥59,400(tax in)

 

 

極限まで削ぎ落とされたデザイン

「〜コートという名称や定番定義に

とらわれないアウターを作りたかった」。

ただあくまでも「シンプル」その言葉は

当てはまらないと続けるデザイナー。

 

 

ラウンドネックのはずなのに

不思議と甘さを感じることが無い。

削ぎ落としていく過程の中に

その秘密があるのだろうか。

絶妙に計算しつくされたように見える

天幅や前下がりのネックライン。

 

 

意味深な高さに位置する

取り外し可能なウエストベルト。

エステル系素材のバックルは

ベークライトのような質感で

どこかノスタルジックな雰囲気です。

 

 

まるで意思を与えられたかのような

美しいAラインシルエット。

高いウエストベルトはこの美しい

フレアシルエットを強調するためです。

 

 

ウエストベルト絞り無しの状態着衣では

流麗な美しいAラインフレアシルエットに。

静かに流れる水のようなドレープは

どうやら生地↔デザイン↔パターン

衣服を構成する3者が無言で言葉を交わし

美しさを奏でているように見えます。

 

 

敢えて長めにした袖丈は

お好みに合わせて内側に折り返しても

デザイナー自らが手間をかけ縫製する

パイピングや手まつりの袖口を

ラフなロールアップで見せてもの仕様。

 

 

大きく切り込む印象的な背面スリット。

長尺ですが足捌き良くインナーの気配で

アウターである自身の存在を知らせます。

 

 

春からはVネックにアレンジしたり

フロントの開け具合で様々な着こなしで。

羽織としての着衣は自由な動きを伴って

美しいシルエットが一段と際立つはずです。

 

 

モデル身長154cm  size 1着用

INNER:NO CONTROL AIR

Polyester Typewriter

No Collar Shirt

SKIRT:Pois E

「OPERA」Skirt Cotton white

INNER PANTS:humoresque

Silk Shirring Pants

SHOES:R.U.

「Jo」

Ribbon Lace Long Vamp Shoes

 

 

 

 

ウール52% リネン48%のウェザークロス。

春夏秋冬のシーズンを問わず

LENSEアウターに欠かせない生地は

尾州産の糸を遠州地方で仕立てたもの。

ウールと言ってもスーツなどに使用される

梳毛で真夏以外の季節に着れる生地感。

経糸の梳毛ウールは双糸使いで

自然な光沢と美しい縦方向のドレープを

緯糸は単糸リネンで横方向にハリを与え

シルエットをしっかりと見せてくれる。

製品洗い済みでご自宅で洗濯可能です。

 

 

LENSEコレクションそのものに

そして春夏・秋冬の両シーズン

このシリーズに欠かせないblack。

ややカーキみを帯びた印象的な

シャンブレー調のgrey。

 

 

 

モデル身長154cm size 1 着用

INNER:LENSE

Slit Onepiece Fake α

(ご予約品4月上〜5月下旬入荷予定)

SKIRT:Pois E

「OPERA」Skirt Cotton white

SHOES:Vialis

Hand Woven Leather Pointed Toe Mule

 

 

 

24時間アポイント?笑のオファーから

あまり良くなかった出会いの第一印象。

ただやはり間違っていなかった予感。

 

デザイナーらしく饒舌ではない事に加え

黒一色しか無いコレクション同様に

静けさに満ちたその1着の中に

不思議と腑に落ちる目の前にある美しさ。

 

LENSEデザイナー田村匠さんは誰もが知る

世界的デザイナーズブランドでの

パタンナーを8年務めたキャリア後に

自らのブランドをスタートさせたデザイナー。

 

poefuでは「ゴーシュ」「TOKIHO」に次ぐ

パタンナー出身のデザイナー

つまり「第三の男」。

 

 

程なくしてLENSEを象徴するようになる

この美しきフレアコートは

生地在りきでデザインされたもの。

縦方向の落ち感とドレープを生む経糸ウール

横方向に張りシルエットを作る緯糸のリネン。

2m以上に及ぶ贅沢な要尺使いの裾周り

とりわけ緯糸リネンのハリ感によって

大掛かりな自身の手まつりがしやすいから。

その興味深い理由がデザインの原点です。

 

実はLENSEデザイナー田村匠さんは

パターンはもちろんデザインに加え

自身で縫製を手掛けるマルチプレイヤー。

素材を見て完成の味を想像しレシピを考え

自身で作るまるで料理人のような存在です。

 

もちろん料理人ではなく大学では建築を専攻

アパレルはほぼ独学でパタンナーを始め

縫製までをこなす天才肌。

それは簡単な努力だけでは叶わないはず。

 

まずはそんな「第三の男」との出逢いから。

きっとこれから長く続くであろう

新たな物語の始まりに。

 

 

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