2023.06.22|Blog
「長生きしたいんですよね」
今企画展中LENSEデザイナー田村匠氏が
口にした意外だった言葉とその理由は
「100年後の洋服が見てみたいから」
LENSE
ISOTOPE Coat Double Cloth Smooth
black
1 size
¥77,000(tax in)
10月中旬〜11月下旬お届け予定
不思議な高級感を纏った二重織の生地。
美しい糸の見立てと丁寧に織られたであろう
ふっくらとした生地感は二重織ならではの風合い。
僅かに光沢を帯び凹凸やテクスチャーも無く
化繊?の想像を良い意味で裏切るコットン100%。
実はフランスの某ハイメゾンブランド用に試作後
使用されなかったデッドストック生地になります。
今回唯一の展開となるアウターは
今シーズンテーマ「ISOTOPE」の抽象性を
言葉ではない様々なアプローチで具象へと導く1着。
おさらいすると「ISOTOPE」は直訳で「同位体」。
例えるならば元素記号における
O2(酸素)とO3(オゾン)のように
元々は同じであるはずのなのに
何か1つが加わる事で異なる内容に変化する
そんな意味合いでのテーマ理解です。
フラットな着衣状態ではLENSEの名作アウター
「A Line Flare Coat」の美しいシルエットの面影。
オープンフロントでの着用時はやや深めのVネック。
ボタンの見えないフライフロントデザインは
シングルなのかダブルなのかが曖昧な見た目。
右脇(腕)下に隠すように付属させたバックル
2本のベルトで留めるフライフロントデザイン。
側面に備えたバックルにベルトを手繰り寄せると
右側中心調整可能なシェイプシルエットは
季節や着こなしに応じて便利なカシュクール機能。
ただ
裏地なしの大見返しにベルトを留めるフライフロント。
(画像左に見えているボタンは打ち掛け用)
右の上下2段ボタンがベルト用ですが
上部のベルトは右側面のバックルを残して
取り外し可能な短めのベルトになっています。
下部のベルトは通常のウエストベルトイメージ。
前面は2本見えているのに背面には1本しか見えない
構造を利用したLENSEらしいユニークなだまし絵。
ヘムラインそのものは真っ直ぐですが
「ISOTOPE Skirt」同様のボタンとボタンホール付属。
ボタンは5個(表3 裏2)ホールは6つあります。
ISOTOPE Skirtと違い裏側にもボタンがあるので
更なるシルエット変化を持たせる事が可能です。
前シーズン「Slit Coat FaKe α 」でサルベージされた
初期作「Slit Coat」の深いスリットデザイン。
ウエスト付近まで切り込んだ印象的なその深さは
もはやスリットなのかどうかは別として
「前身頃と後身頃が分離する」そんなイメージ。
ヘムラインの5つのボタンと8つのボタンホールが
前後の身頃を繋ぎとめたり更に引き離したりします。
「A Line Flare Coat」に始まり「Slit Coat」
「Slit Coat Fake α」や「Fold Cocoon Coat」
これまでに生み出されたアーカイブアウターを
まるで星座のように繋ぎ合わせていく「ISOTOPE」。
モデル身長154cm
INNER:eleven 2nd
Soft Plain Jersey S/S T
SKIRT:LENSE
ISTOPE Skirt Double Cloth Smooth
SHOES:Vialis FOR poefu
Pointed Toe T-strap Shoes
生地やシルエットがシンプルに綺麗な1着として
上下の「ISOTOPE」ディテールをどう+するかで
その日の気分で着こなしを変えられるアウター。
LENSEデザイナーが自ら多くを語らないように
小難しい事はあまり気にせずシルエットが綺麗
とても便利なアウターと理解いただければ幸いです。
LENSE
ISOTOPE Vest Cotton Linen Oxford
black
1 size
¥63,800(tax in)
10月中旬〜11月下旬お届け予定
コットン80%リネン20%のオックスフォード。
織組織中にブラック糸とグレー糸を掛け合わせ
奥行きのある表情を持たせた黒の表現方法。
一見全て同じように見える黒という色中には
目を凝らせば確かな違いが存在する。
気付くか気付かないかのミリ単位に拘る
パタンナー出身のデザイナーらしい
LENSEコレクションに不可欠な静かで熱い想い。
店頭での予約会ではスカートと共に
嬉しい事に多くのご予約をいただいた1着。
「ISOTOPE Coat」とデザインやシルエットの
アウトラインはほぼ等しいロングベストは
アウターとしてだけでなくインナーとして
裏地なしで真夏以外に着用可能の便利なアイテム。
ウエスト付近まである印象的な深いスリット
分離する前身頃側にポケットが隠れています。
アウターから袖を引き算した逆説の「ISOTOPE」。
デザイナー自らが施した気の遠くなる
手まつりの微かな痕跡が同位体を示唆します。
さりげなくアウターよりも細めに仕立てたベルト。
シングルかダブルかが分からない所以。
ボタンが2つ並びでは無いフライフロントに加え
ベルトを緩めればシングルっぽい見た目の留め方に。
上下2段のベルトは上部が取り外し可能
下部は据え付けですがどちらか1本の留め方でも。
2本のベルトで絞り込めばダブルの見た目に。
「ISOTOPE Coat」と同じくヘムライン前後には
5つ(表3 裏2)のボタンと6つのホールがあります。
何通りの着こなしがあるのかは見当もつきません。
無限では無いにしても上部のベルトが連動すれば
それこそ星の数ほどの着こなしが可能だと思います。
袖を引き算した結果ヘムラインの落ち加減が異なり
新たにボタン位置をミリ単位で調整する拘り。
Oxford モデル身長154cm
INNER:NO CONTROL AIR
COOLMAX®︎
Polyester Linen French Sleeve Shirt
PANTS:LENSE
Skirt Trousers Cotton Linen
SHOES:R.U.
「Jo」
Ribbon Lace Long Vamp Shoes
ゴワつきのある見た目をヘムラインに描く
オックスフォードならではの質感は
曲線と直線が混じり合う面白い豊かな表情性。
Oxford モデル身長154cm
INNER:RhodolirioN FOR poefu
Lace Cuff L/S T
(8月入荷予定分予約受付中)
PANTS:BUNON FOR poefu
Silk Khadi & Silk Organdy
Hand Embroidery Wide Pants
SHOES:Vialis
Hand Woven Leather Pointed Toe Mule
袖口にレースが付属するカットソーを
主役のアイテムに変えるベストの有能性。
背面側に生地を寄せる僅かなヘムライン操作で
手刺繍が華やかなパンツを際立たせてくれます。
LENSE
ISOTOPE Vest Wool Linen Weather
black
1 size
¥66,000(tax in)
10月中旬〜11月下旬お届け予定
LENSEファンにはお馴染み
ウール52% リネン48%のウェザークロス。
LENSEのアウターにも欠かせない生地は
尾州産の糸を遠州地方で仕立てたもの。
ウールと言ってもスーツなどに使用される
梳毛(そもう)は通年着用可能なもの。
経糸の梳毛ウールは双糸使いで
自然な光沢と美しい縦方向のドレープを
緯糸は単糸リネンで横方向にハリを与え
アウターシルエットをしっかり描いてくれます。
Wool Linen Weather モデル身長154cm
INNER:TOKIHO
「ANNA Ⅶ」Silk Linen Onepiece
SHOES:Vialis FOR poefu
Pointed Toe T-strap Shoes
ウールリネンらしい柔らかなドレープ曲線。
生地違いでこれだけ見た目が変化するのもまた
「ISOTOPE」テーマに通じていて面白い。
「ISOTOPE Vest」ご紹介中に突然ですが
LENSEの名作アウター「A Line Flare Coat」。
ウールリネンウエザー生地との出逢いから生まれた
ウールの縦方向ドレープとリネンの横方向のハリ感
それを最大限にいかしたシンプルに美しいアウター。
この「A Line Flare Coat」の上に「ISOTOPE Vest」を
アウターオンアウターで重ねた着こなしは
今シーズンだけの特別なレイヤードスタイル。
「A Line Flare Coat」に限らずですが
これまでリリースされたウールリネンウエザー生地の
全てのアウターに重ね着が可能なように
アームホールサイズは設定されています。
Wool Linen Weather モデル身長154cm
INNER:TOKIHO
「ANNA Ⅶ」Silk Linen Onepiece
普段はコーディネートを全く意識する事なく
それぞれを1つの作品としてデザインする
LENSEデザイナーから異例のコーディネート提案。
テーマ「ISOTOPE」の究極形態の変化を
洋服らしくコーディネート表現した事が素晴らしい。
「作りたいものしか作らない」
展示会で毎回「商業的にはアウトですけどね」
そう笑いながら必ず口にする言葉の今秋冬の意味は
真冬対応のアウター展開が無いのはこのためなのか…
そんな風にさえ思えてくる不器用さと誠実さです。
衣服を解体しパターンを解読しなくても
3Dプリンターで複製可能になりつつある時代。
前シーズンのテーマに選んだ「FAKE」は
鳥俯瞰で見た自身の服をそれらしくパクるという
発想の面白さの裡に時代への揶揄を込めつつ
未来服への憧れやA.I.への想いを秘めている。
「100年後の洋服が見てみたい」
実際には叶えられないその言葉にこう続けます。
「この先A.I.が衣服をデザインする時代が来ても
生地と思想だけは絶対にデザインが出来ない」
「ISOTOPE Coat」はLENSEアウターの
数々のアーカイブ史実を写し
全てを歪曲に包み込む現在進行形。
「ISOTOPE Vest」はそこからの引き算という
テーマ「ISOTOPE」に新記的な解釈。
「A≠ISOTOPE」
「A.I」は思想とも言うべき今回のテーマ
「ISOTOPE」で衣服をデザインすることは出来ない。
LENSEの衣服はそこはかとなく美しい。
誰もが知る世界的デザイナーズブランドでの
華々しいキャリアが描くパターンメイクだけでなく
言葉にしなければ誰も気付くことは無いだろう
アウター裏に忍ばせた手仕事の縫製仕様同様に
思想までを含めての美しさなのだと僕は思う。
*6月25日(日)20時までの予約受付となります
ONLINESHOPでもご紹介中です。
ぜひご利用ください。