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2019.05.24

『アルペジオ』yasuhide ono 作品展

2019.05.24|Blog

『アルペジオ』at poefu

自然との調和
日常との調和
衣服との調和

さまざまな和音(アルペジオ)の調を思考しながら五線譜を美しく染め上げていきます

yasuhide ono作品展
5月18日(土)〜26日(日)
期間中は全日営業
*17日(金)は設営準備のため店休日

作家在廊予定日18日(土)19日(日)26日(日)

期間中は作家自らがインドに赴き買い付けた
多彩な天然石を使用した様々なアクセサリー
繊細な金工細工のリングやネックレスにはヘキサゴン(六角形)の新たな作品がメインに並びます
作家の原点であるマクラメ編みは土着的な要素を盛り込んだ作品性の強い一面を
シンデレラリングこと水晶リングはポイント・ラウンドで100点近い豪華な内容で
yasuhide ono作品を多数ご覧いただけます

〒167-0042
東京都杉並区西荻北3-2-3松屋ビル1階・2階
poefu(1階)fuga(2階)
03-6913-8019/03-6913-9212

13時〜19時30分

知らなくてもいいこと

2019.05.24|Blog

例えば渋谷で人と待ち合わせたとしましょう。

待ち合わせの相手から「15分ほど遅れます」との連絡に

待っている時間を何気なく街行く人に目を移します。

。。。。。

おそらくものの10分もすれば気付いてしまうでしょう。

。。。。。。。。。。

「どうやらタピオカミルクティーが流行っている」ことに。

 

世の中の流行りからきっと一番遠いところにいるはずの

デザイナーが作る美しいワンピースのご紹介です。

 

TOKIHO

「SOLO-Ⅳ」

Cotton Silk Grosgrain Onepiece

smoke / black

1(one)szie

¥38,000+tax

 

TOKIHOデザイナー吉田季穂(ときほ)さんは

東京在住ですが人が多く集まる街にあまり出かけません。

それは世の中で今何が流行っているのかという事だけでなく

自らの意志とは裏腹に多くの情報が無意識に入ってきてしまうから。

 

TOKIHOのお洋服にリピーターが何より多い理由は

美しいシルエットに的確な運動量と動きやすさ。

いかにもパタンナー出身のデザイナーらしい理由です。

ベーシックな色合いと一見するとシンプルなデザインですが

目を凝らしていくとデザイナーの中に日々湧き上がる疑問や

流行とは無縁の美しいものへの記憶の残留がそこかしこに

痕跡のように刻まれていることに気付きます。

 

「襟って。。。何なんでしょうね。。。。。」

そう何度も何度も独り言のように呟いていた今春夏の展示会。

前回「PRESENCE-Ⅱ」でも伝えたエピソードを更に続ければ

「もともとの衣服を辿っていけば襟は存在しなかったはずで

その後に”洋の服”というものの多くに襟が付くようになって。。。

その一方で”和の服”には殆ど襟というものが無い。。。。。。。」

ぼそぼそと独り言のような呟きは続きます。

 

その襟に対する疑問を何度も頭の中で反芻しながら行き着いた

「退化」という独自解釈の襟はまさに痕跡と呼ぶに相応しい。

 

「SOLO−Ⅳ」

初めてpoefuでTOKIHOを取り扱い始めた頃から

マイナーチェンジを繰り返す名作ワンピース「SOLO」の4作目。

女性らしく華奢で柔らかな肩曲線と吸い付くような首周りは健在。

印象的な「退化した襟」の存在がこれまでの「SOLO」以上に

それを美しく孤高にTOKIHOらしく見せてくれます。

 

袖が身頃に格納されるようなショートスリーブ。

小さく刻んだスリットは4作目に新たに加わった機能ディテール。

 

これまでの「SOLO」シリーズで多く用いてきた

ヘンリーネックデザインは背面ボタン仕様に。

 

DSC_0536 (400x266)

DSC_0534 (400x266)

参考までに上2つの画像が「SOLO-Ⅰ」

もちろん「襟って何でしょうね。。。」という疑問から

前面から背面に移行したのは自然の成り行きです。

 

上下で大きさを変えたボタンは思考の末に辿り着いた

着脱に対する有効性とボタンとしての機能を十二分に果たすもの。

ネックの先端部分のみ抜けて見えるので開けてみましょう。

 

ボタンの大きさだけでなくボタンホールの角度

内側の比翼の重なり具合まで全てを考慮した徹底ぶりです。

思考の末の「襟の退化」は「背面の進化」に繋がります。

 

身体のラインを拾わない程度のスッキリとした上半身と

ウエストから大きく広がるAラインシルエットとドレープ。

タックやギャザーの技法を用いることなく布の有り様と

パターンのみで仕上げたミニマルさが見事です。

 

ミニマルで美しい佇まいを改めて前から見てみましょう。

 

裾が。。

 

何だか。。。

 

おかしいですね。。。。

 

突然ですがデザイナー吉田季穂さんの家にはテレビがありません。

「見ないから」という理由の先にはもちろん

自身の作品であるお洋服に影響を及ぼさないためです。

 

自らの意思でテレビを見ることはありませんが

古い画集や写真集を眺めては深い思考の海に潜り込みます。

その思考の中で時に蘇るのが「記憶」です。

前身から後身にかけて鍵のようにフックした特異なデザイン。

これはデザイナーが生まれ育った富山の生家の蔵にある

古い朝鮮箪笥の側面を留める鉄製の金具のデザインに由来します。

自身の記憶の中にある美しい機能美をお洋服に痕跡として留めます。

多くの人が目にするテレビの世界ではなく

彼だけにしか描き出せないオリジナルデザインがそこにあります。

 

 

超高密度に織られた細かな畝のある平織り布のグログラン。

夏の麦わら帽子を飾るリボンは殆どがこのグログラン織り。

長年たくさんの服地を見てきましたが天然繊維だけで織られた

しかもシルク混のグログラン織りの服地は初めて見ました。

「どこから見つけてくるのだろう」毎シーズンそう思う

ベーシックながらTOKIHOらしい興味深い生地提案です。

やはりこちらもゴワッとした見た目の表情を良い意味で裏切る

着用時の軽さと柔らかさが共存する特異な生地感。

シルクの自然な光沢感がカジュアルに華を添えてくれそうです。

ハリのある生地感は洗濯強度に優れているのでデイリーにおすすめです。

また夏場でも肌離れも良く一年を通して着用可能です。

 

 

smoke

その名の通りやや曇りがちなグレージュ。

淡色が少ないTOKIHOの中にあって「らしさ」を感じる一色。

OUTER:Tabrik Asymmetry Hem Onepiece 泥藍

PANTS:humoresque Silk Shirring Pants(sold)

SHOES:TACHINO CHIE「OCULI」Button Shoes

HAT:Pois E「CONSORT」PARABUNTAL Hat

ほぼ一年を通じて着用可能なシンプルデザインのワンピース。

一枚での着用はもちろんワンピース同士の重ね着にも。

 

black

シルク混の鈍い艶感にグログランのテクスチャー。

表情性のあるブラックは使い勝手の良い一色になりそうです。

OUTER:-M- Silk Robe Gown

SHOES:beautiful shoes Barefoot Sandal

今春よりお取り扱いが始まる新しいブランド。

スタイリスト小暮美奈子さんが手がける-M-(ミディアム)の

シルクローブガウンにラフでいて美しいサンダルを。

上質な素材感で夏らしい着崩しモノトーンコーデ。

 

 

 

少し余計なお世話かもしれないのですがこの物語を書くにあたり

「今巷でタピオカミルクティーが流行っているの知ってますか?」

今週訪れた来秋冬の展示会でデザイナー吉田さんに聞いてみました。

 

「えっ!そうなんですか。。。。知らなかった。。。あ!

だから最近コンビニにタピオカミルクティー売っているんですね!」

 

poefu(私)より流行から遠いところにいるデザイナーTOKIHO(吉田)さん。

コンビニに置いてるのは知っていたと得意げな吉田さんにもですが

何よりコンビニにいる吉田さんを想像すると何だか笑えてきてしまいました。

 

 

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