2019.10.07|Blog
今日のタイトルは『貴族から海月(くらげ)』
映画のタイトルではありません。
いつも通り長文でのお洋服紹介ですが
どうぞごゆるりとお楽しみ下さい。
susuri
Blind Pullover Blouse
ivory / black
1(one)size
¥25,000+tax
バンドカラーのプルオーバーシャツはゆとりあるサイズ感。
susuriデザイナー齋藤龍也氏がデザインソースに選んだのは
かつて「貴族」が着ていたヨーロッパのアンティークブラウス。
側面に回り込むとこのブラウスの隠された
もう一つの異なる表情が背面側に現れ始めます。
メンズライクなスッキリとした前身頃とは裏腹に
後身頃に向けてフンワリと柔らかな女性らしい表情。
身頃と袖の切り替え下に寄せたギャザー。
susuriを象徴する背面デザインへの執着。
ただ補足説明を加えるとデザインソースになる
アンティークブラウスの多くは前後共に
ギャザーが入っていることが一般的です。
ここでsusuriデザイナーが施したのはむしろ
前面のギャザーを失くすというデザインでした。
言い換えれば背面のギャザーを残すということも
デザインの1つという事になるのかもしれません。
OUTER:susuri Hemulen Shirt Onepiece
PANTS:susuri Boar Pants
SHOES:DANSKO Professional Patent black
susuriでの全身コーディネート。
同じブランドでの全身コーデはとても珍しいのですが
今秋冬はsusuriがとても充実中なのでお許しください。
ヘムレンシャツワンピースとボアーパンツ
今時点でのsusuri定番の2アイテムと合わせて。
ブラインド=「盲目」という名のプルオーバー。
このブラウスのデザイン原型はsusuriがブランドを始めた
まだ多くの人に知られる事の無い約7年近く前まで遡ります。
デザイナーがこよなく愛する画家ブリューゲルの名を冠にした
お洋服がブランドスタート時から数年に渡りリリースされます。
ちなみに2013秋冬のテーマはブリューゲルの絵
「盲人の寓話」にインスパイアを受けたコレクション。
ピーテル・ブリューゲルの絵画中の登場人物たちが
着ているお洋服に似た雰囲気をsusuriに感じることはもちろん
背面へのデザイン執着はこのブラインド=「見えていない」
というテーマ性が出発地点とも言えるのかもしれません。
前置きが長くなりすぎましたがこのブラウスは
アーカイブコレクションをサイズ感やパターンを見直し
リモデルしたデザイナー自身のお気に入りのものです。
チンカラーブラウス・ワンピースでもご紹介した
タイプライターネップクロスを使用しています。
リネンやワイルドシルクにも似た表情性のあるネップ。
高密度に織られたタイプライタークロスから
あえてハリ感を取り去り柔らかな風合いを表現しています。
もちろんタックインスタイルでも。
ゆとりあるサイズ感にブラウジングが良く似合います。
ブラインドギャザーをあえて見えるか見えないかの位置で。
OUTER:TOWAVASE「Permanent TOWAVASE」
Hand Stitched Quilt Silk Robe Coat
PANTS:FIR MUM Cotton Wool Twill Wide Culottes
SHOES:R.U.「Jo」One Lace 2way Lace Long Vamp Shoes
STOLE:Itoi Collection by Yuri Park 30/1 Cashmere Stole(FOR poefu color)
一年を通して着用可能な生地感に加えて
前身頃はあくまでもシンプルなデザインなので
インナーとしても重宝するはずです。
susuri
Jelleyfish Blouse
ivory / charcoal
1(one)size
¥28,000+tax
フルオープンのクルーネックカラー。
susuriとしては珍しい前身頃から可愛いと分かる
ギャザーが印象的なゼリーフィッシュブラウス。
Jellyfish=海月(くらげ)に着想を得た
着眼点がとても面白い今秋冬を象徴する一着です。
極限までアウトシームを無くしスッキリとした見た目に
拘りのやや大きめな2穴猫目ボタンはホーン製ボタン。
生地色とのコントラストがアウターっぽい雰囲気に。
フェミニンな前身のギャザーをキリッとした印象にしたかった。
デザイナーの思惑通り「甘さ控えめな」ギャザーブラウスです。
ギャザーから続くヘムラインへのドレープは
まさにジェリーフィッシュそのものです。
とても高い位置に据えた背面ヨークが全体を包み込みます。
アウターのような見た目に袖山を高くデザインしています。
(モデル身長153cm)
外に出して着るのがおすすめなベルト位置の着丈。
ブラウスとしてだけでなくカーディガン代わりに
羽織ってもバランスが良さそうな長さです。
OUTER:CLOSELY Supima Cotton Zip Up Cardigan
PANTS:ゴーシュ カツラギワイドパンツ
SHOES:R.U.「Camille」One Lace Gillie Shoes
普段着を上品に見せてくれそうなジェリーブラウス。
同じく上品に見えるジップアップスウェットを重ねて。
コントラストボタンとジッパーの対照感も良いですね。
2017年のアメリカ映画「The Shape of Water」に
大きなデザインインスパイアを受けた2019秋冬コレクション。
映画の中で描かれる印象的なモチーフや色調
そして水の中の世界や生き物とあらゆるものが
今秋冬のお洋服デザインの題材に影を落としています。
もちろんJellyfish=海月(くらげ)もその1つです。
播州織で古くから知られる兵庫県西脇市で制作された
トロッとしたヌメリ感のある高密度コットンツイル。
スーピマコットンのきめ細やかさとツヤ感
織り上げた布表面のコットン毛羽を一旦ガス焼きした後
あえてもう一度起毛仕上げを施したという拘り。
「毛羽をガス焼きした後に起毛仕上げ?」
二度手間のような気がするのですがどちらかというと
僅かな微起毛はピーチフェイスのような仕上がりで
とても滑らかで肌当たりの良い仕上がりになっています。
これまでドライタッチの生地感を好んで使用することの多かった
susuriとしては新たなる表情性を感じられる仕上がりです。
ゼリーフィッシュの佇まいに最適な生地選び。
ブランドスタートから約7年。
今やコレクションの殆どの生地がオリジナルかバイオーダー。
手間と苦労を惜しまずに全国の機屋に自ら足を運び
流通していない生地を使用することで完成する一着。
susuriの現在進行系の進化の過程が見える拘りの生地です。
OUTER:MASQUE FOR STRANGE BOUTIQUE FOR poefu 比類なきコート
SKIRT:Pois E「OPERA」Skirt(sold 今秋冬の入荷はありません)
SHOES:R.U.「Jo」One Lace 2way Lace Long Vamp Shoes
ブラック&ホワイトを並べたモノトーンコーデに効かせた
アウターのアースカラーからのぞくコントラストボタンの
白が重ね着することでとても綺麗に映えます。
『貴族から海月』
デザイナーはいつもデザインソースを探している。
もともと好きだったアンティークウエアーや
画家が描く空想や寓話の中の人々に始まり
7年たった今では海月さえ洋服に見えてきてしまう。
susuriの変わらないらしさの「貴族」
今のsusuriを感じてもらえる「海月」
貴族から海月までデザイン出来る人はそうそういません。
『貴族から海月』
〜Fin〜
ONLINESHOPでもご紹介です。
是非ご利用下さい。