2023.12.24｜Blog
シーズンを重ねる毎に店頭はもとより
ONLINE先でも多くのリピーターを獲得し
着実にファンを増やし続けるLENSE。
誰もが知る世界的デザイナーズブランドでの
パタンナーとしてのキャリアを積んだ
ロジカルで美しいパターンメイクに加え
自らが全てのサンプル制作を手掛ける事から
型紙と縫製の関連性を見据えた良質な生地選び。
そして何よりデザインの結論に至るまでの
これでもかと突き詰められる思考やプロセス
初見では全く気付く事が出来ないギミック等
数多の洋服好きを魅了する理由は様々です。
恒例となったONLINESHOPでのLENSE予約会。
来春の展示会初見で最も印象的だったシャツは
同じデザイナーとは思えない対照的な並び。
それゆえ店頭での予約会を終えた今でもなお
その尽きない魅力を言葉に出来るのかも不安です。
説明書きにある①〜は意味が分かってもらえるか
不安となる数を記載しています。
そんな多くの不安を抱えながらも
魅力あふれる対照的なシャツのご紹介です。
＊ご予約は12月24日（日）19:30までとなります。
＊店頭では24日（日）までご試着も可能です。
LENSE
Unfinished Shirt
black
1 size
¥44,000（tax in）
＊5月中旬〜6月下旬お届け予定
展示会でまず最初に気になったシャツは
付かず離れずなクセの無いボックスシルエット
着丈にかなりの前後差があるロングシャツ。
①どうやら右前身頃はプレーンデザインで
チュニックのような長さの一重仕立てで
左前身頃のみイカ胸でそのステッチ下を境にして
もう1枚の布が隠れているように見えます。
イカ胸部分の上布は普通のシャツくらいの長さで
下布が右前身頃と同じ長さになっているようです。
もう1度着画を見ながら①を確認。
右だけでなく左身下布の方にも隠しポケット。
丁寧な物作りに定評のあるLENSEらしさと
②ポケットに手を入れるとフラした上布が動き
存在を際立たせるもう1つの機能を果たします。
どこからともなくウエストベルトが現れました
そうどこからともなく現れたのです。
着脱可能なベルトはやや高めの位置に配され
ボックスシルエットに変化をもたらします。
ところでベルトはどこにいたのでしょう？
③ウエストでのベルト未使用時の
格納場所が裾部分に備え付けられています。
綺麗に格納し側面カットアウェイの隙間から
微かにその気配をのぞかせるも良し
敢えて垂らしてデザインの一部するも良し。
ウエストベルトの気配を無くしての着用時に
ベルトを紛失しないようにという気遣いが
LENSEらしいデザインに昇華されています。
右前に垂れた下布が突然消えショート丈に。
と思いきや下布はちゃんといるようです。
④裏側で留められる仕組みになっています。
画面右側のボタンホールは2枚分を重ねて
フロントボタンに留める計算し尽くされた配置。
右はロング左はショートのアシンメトリー。
ISOTOPEスカートを合わせて
上下共にアシンメトリーな着こなしを。
左前のみイカ胸のアシンメトリー。
よくみると左右襟の大きさが異なります。
左右のカフス
仕上げ（具合）とボタンが異なります。
まるで英国陸・海・空軍のブロードアローを
象ったような矢印状の印象的なボタンかけ。
手付けでしか出来ないという証と共に
一般的な留め方（二の字で留める）に比べると
支点が1点になることでボタンが動きやすくなり
布の動きにも対応するので強度面で安定し
4つ穴ボタンにとってかなり有効な留め方です。
着衣時に見えているフロント上部分と
上布で隠れているフロント下部分では
ボタンの色と形が変えられています。
初見で自然に視線誘導されてしまう
フロントの横軸アシンメトリーに加えて
着丈の長さが変わる縦軸のアシンメトリー。
更に襟やカフスやボタン色までに渡る
アシンメトリーが散りばめられたシャツ。
LENSEコレクションに欠かせないシャツ地
コットン100％のタイプライタークロス。
一般的なハリの強い生地感ではなく
洗い込みくったりと馴染んだような柔らかさ。
あくまでも生地組織は高密度タイプライターで
洗濯強度もあり通年着用可能で便利な生地です。
モデル身長154cm
INNER：Fabrique en FRANCE
1×1 Cotton Rib Turtle L/S T
SHOES：ONE TWO & CO.
「MARYJANE」
Velvet One Strap Shoes
（2024SSよりONLINESHOPでもご紹介予定）
作り手の思いや語り手の想いはさておき
左右のアシンメトリー感が程よいデザインで
何も考えず気軽な羽織使いでも絵になります。
LENSE
Progress Shirt
black
1 size
¥44,000（tax in）
＊5月中旬〜6月下旬お届け予定
パターンやサイズ感などの大枠は
Unfinisehd Shirtと同じProgress Shirt。
付かず離れずのボックスシルエット
約10cmの着丈前後差あるロングシャツ。
左前身頃のイカ胸ステッチ部分を境にして
フラした上布がオーガンジーに変えてあります。
大枠の変更箇所はここだけになります。
ベルトの格納庫もそのまま残っているようです。
透け感あるオーガンジーがタイプライターと
黒で協調しならが異素材感を強調します。
左右の襟の大きさ違いや袖カフの形状違い
ボタンは先程とまた異なるアシンメトリーに。
Unfinishd Shirtフロントボタンは白→黒の
貝ボタンというアシンメトリー流れに対して
Progress Shirtフロントボタンアシンメトリーは
３穴黒貝裏使い→４穴黒表使いという流れに。
とても珍しい３穴ボタンに加えてボタン裏使い。
⑤3つ穴→4つ穴というアシンメトリーに加え
貝にとっての表→ボタンにとっての表という
LENSEデザイナーらしいアシンメトリー解釈。
アシンメトリー認識はそのものこそが
シンメトリー認識から生まれる表裏一体のもの。
アシンメトリー⇄シンメトリーという構図を
たかがボタンされどボタンと言わんばかりに
表裏と縦軸を使ってロジカルにデザインします。
コットンタイプライタークロス基布に
ハリのあるコットン100%オーガンジー。
オーガンジー下にも基布のタイプはあるので
透け感は気にせずに着用が可能です。
モデル身長154cm
INNER：Fabrique en FRANCE
1×1 Cotton Rib Turtle L/S T
SHOES：ONE TWO & CO.
「MARYJANE」
Velvet One Strap Shoes
（2024SSよりONLINESHOPでもご紹介予定）
「Unfinished」と「Progress」どちらにするかで
悩まれる方が多かった店頭でのご予約会。
シンプルなものがお好きなら「Unfinished」
よりLENSEらしいものがお好きなら「Progress」
そもそもどちらもシンプルじゃ無いですね笑。
LENSE
Almost Done Shirt
black
1 size
¥44,000（tax in）
＊5月中旬〜6月下旬お届け予定
「Unfinished」＝未完成
「Progress」＝過程
そして「Almost Done」と名付けられた
3部作の最終形態「Almost Done」＝ほぼ完成。
前身頃は左右ともに「Progress」で採用した
イカ胸仕様のフロントデザインで
全体像は左右シンメトリーになっていますが
前身頃は下布が両側から垂れ下がり
背面はショート（シャツ）丈になる事で
これまでとは前後が逆のアシンメトリーに。
前身頃左右に垂れ下がる下布両サイドに
隠しポケットが付属しています。
前身頃のイカ胸両サイド周辺だけでなく
袖部分もカフス以外はオーガンジーに。
背面は全面オーガンジーになっています。
素肌でも淡色インナーを合わせても気にならない
むしろ着こなしに使えそうな適度な透け感です。
横軸でのアシンメトリーな着こなし
前着丈調整が左右どちらでも可能になります。
つまり前身頃下布の両サイドを上げると
シンメトリーなシャツになる仕組みです。
ディテール部分は全てシンメトリーに。
ボタンも全て３穴貝ボタンの裏使いになり
LENSEにとっていつものほぼ完成形に。
「貝にとっての表はこちら側」
「ボタンにとっての表は人間が決めたこと」
「1つとして同じ模様が無い貝の裏こそが個性」
「だから表裏どちらが美しいかに正解はない」
ボタン1つにもきっとそんなロジックがあるはず
デザイナーがたかがボタン1つに託した想いを
「私の耳は貝の殻 海の響きを懐かしむ」
ジャンコクトーの詩の一節のように
美しい貝の表に耳をそば立てながら
されどボタンと受け取りその想いを代弁してみます。
「Unfinished」＝未完成
アトリエに転がっていた始まりのトワル
何かが欠けている事を美しいと共感出来る人へ。
↓
『Progress」＝過程
デザイナーのルーツを示す左中心のデザイン
それは創造途中という深い深い思考の渦中。
想像力を掻き立てる洋服をこよなく愛する人へ。
↓
「Almost Done」＝ほぼ完成
深い思考の渦からサルベージされた1つの完成形。
作り手や語り手は謙虚なエゴで未完成を分かち
袖を通す事で自由に着てもらえる事でほぼ完成
よく分からなくてもなぜだか着てみたい人へ。
モデル身長154cm
INNER：Fabrique en FRANCE
1×1 Cotton Rib Turtle L/S T
SHOES：ONE TWO & CO.
「MARYJANE」
Velvet One Strap Shoes
（2024SSよりONLINESHOPでもご紹介予定）
poefuでは普段あまりセレクトすることが無い
襟付きのメンズっぽいシャツの佇まいですが
袖や背面オーガンジーの透け感をうまく使って
シンプルコーデでも良さそうな1着になりそう。
LENSE
Submit Shirt Cotton Typewriter
black
size 1
¥26,400（tax in）
＊5月中旬〜6月下旬お届け予定
LENSEコレクションに欠かせないシャツ地
コットン100％のタイプライタークロス。
一般的なハリの強い生地感ではなく
洗い込みくったりと馴染んだような柔らかさ。
あくまでも生地組織は高密度タイプライターで
洗濯強度もあり通年着用可能で便利な生地です。
店頭予約会ではLENSEを知る人ほど驚いていた
シンプルデザインすぎるVネックシャツ。
身長や体型を問わないゆとりあるシルエットは
通年でのレイヤードと夏に向けても良さそう。
インナーが必要なやや深めのVネック。
春夏はTシャツやタンクトップやキャミソール
秋冬はハイネックやタートルとの重ね着で。
フロントボタンは白の貝ボタン
LENSEアイコンの4つ穴ブロードアロー留め。
側面は敢えて縫製をせずボタン開閉出来る仕様。
パンツベルト位置辺り下にはボタンは付属せず
スリットのようなイメージで。
着衣イメージからは少し想像し難いのですが
背面はかなり立体的なパターン構成
袖見立て部分までヨークが渡る一枚仕立て。
ヨーク上はバイヤスで肩線なくそのまま
前身頃で立体的に繋がっていく作りです。
「ビヨーン」
時折天才的な行動に出るスタッフMちゃん
後身頃はどうなっているの？な見た目ですが
ただ側面ボタンを外した前身頃を前に引っ張り
ふざけただけなのでたぶん天才ではないかと。
側面のボタンを外しただけですが
前方からの見た目が大きく変化します。
ポンチョというかベストというかな気分で
あらゆるものに被って重ね着できそうです。
ハイまた見た目が変わりましたね
向かって右側に歪んで見えています。
洋服ですからもちろん種も仕掛けもあります。
後から見るとこんな感じ。
右側面
ボタンホールを一段ずらして
後身頃が一段分下がるように留めています。
左側面
ボタンホールを一段ずらして
後身頃が一段分上がるように留めています。
モデル身長154cm
INNER：SUSURI
ポエータハイネックセーター
PANTS：LENSE
Skirt Trousers β LIMONTA Cotton Nylon
四季それぞれに合わせて着こなしを変えられる
とても便利で使い勝手が良いシャツ。
デザインがシンプルな分よく見ると歪んで見える
敢えてボタンを掛け違えているような
こんなアレンジの着こなしも楽しい。
LENSE
Submit Shirt Cotton Organdy
black
size 1
¥26,400（tax in）
＊5月中旬〜6月下旬お届け予定
コットン100%のオーガンジー。
天然素材のオーガンジーのため自然な風合い
モワレが出ずサラリと着こなせるのが良い所。
熱がこもらないので夏場も快適
通年で透け感を利用した重ね着が楽しそうです。
左右共に1段分後下りにずらしての着こなしは
クセがなく着衣横からの見た目が可愛くお勧め。
このSubmit Shirtの凄いパターンメイクは
この1段ずらしまでの着用想定をした上で
後ろ首ぐりが綺麗に見えるように
パターンを引いているから素晴らしい。
モデル身長154cm
INNER：SUSURI
ポエータハイネックセーター
PANTS：LENSE
Skirt Trousers β LIMONTA Cotton Nylon
春夏っぽい印象を作りやすいオーガンジーですが
秋冬の重たくなりがちなコーディネートに
このまま上からアウターを羽織ると
布帛のベストやカーディガンとして
女性らしさが加わるかと思います。
LENSE
Submit Shirt
grey
1 size
¥26,400（tax in）
＊5月中旬〜6月下旬お届け予定
ピンヘッド調の細かな柄目が見えるドビーは
高番手糸コットンの自然な光沢が美しい
播州地方で織られたデッドストック生地です。
デザイナー自身もモニタリングを兼ねて
半年自宅での洗濯を繰り返していますが
そのままの風合いを保っている良生地です。
遠目にはほぼ無地に見えるドビー織生地
ややブラウンがかったグレージュ調色は
季節に合わせて合わせやすい上品な色目です。
もちろん通年着用とご自宅でのケアが可能です。
デザイナーに内緒で2段後ろ下がりを試みました。
なんてたってサブミットシャツですからね
見事2段後ろ下がりという新技に成功です。
背面の首ぐりは綺麗なままで
後身頃が前身頃を引っ張る事で出来るドレープも
新たな表情として面白く見えてきます。
モデル身長154cm
INNER：SUSURI
ポエータハイネックセーター
PANTS：LENSE
Skirt Trousers β LIMONTA Cotton Nylon
来春夏ワードローブにあるときっと便利な
シンプルデザインのサブミットシャツ
３種類お好みの生地からお選びくださいね。
「Unfinished」「Progress」「Almost Done」と
対照的過ぎるくらいのシンプルなシャツデザイン…
……..
もちろんLENSEがここで終わる訳がありません。
画面左が側面ボタン 画面右がフロントボタン
①フロントボタンは3穴黒い貝ボタンの表使い
両側面のボタンは3穴黒い貝ボタンの裏使い。
フロントに対して側面ボタンはアシンメトリー
両側面ボタン同士はシンメトリーという並び。
②更に両側面に目を凝らして見ていくと
左側面は前身頃側にボタンが付属し
右前身頃側にはボタンホールが付属しています。
つまり左前身頃は後身が回り込んで留まり
右前身頃は後身に回り込んで留まる仕組み
両側面仕様そもそもがアシンメトリーなのです。
③そして前身頃裏のヘムラインヘリ返しには
右前がボタン左前がボタンホールになっています。
何のために？？？
まもなく終わりかと思えた史上最長の紹介から
着衣では見えていない新たな謎前裾裏仕様の出現！
僕も15時間以上書き続けているのでやめたい。
でもそうはいかないのです。
LENSE
Dimeric Dress
grey
1 size
¥52,800（tax in）
＊5月中旬〜6月下旬お届け予定
④突如現れた不思議な見た目のシャツドレス。
もちろん僕の不安の始まりはここにあります。
そしてただならぬ気配がそこにはあります。
実物を前にする予約会では言葉にならずとも
LENSEコアファンを魅了したのもまた真実です。
色々な所が空いていたり膨らんだりしぼんだり
シルエットがどうこうという事は言えませんが
着るという衣服としての最低限は満たしています。
オープンフロントでは少し謎が解けてきます。
⑤
Submit＝組み合うShirt。。。
Dimeric=２分子からなるDress。。。
Submit Shit＋Submit Shirt=Dimeric Dress
つまり2着のSubmit Shirtを組み合わせると
Dimeric Dressが出来上がるというわけです。
⑤SubmitShirt の全てのボタンを解放し
布１枚になった状態を広げて90度回転させ
横方向でこのヘムライン同士を繋ぎ留めると
Dimeric Dressが完成となるわけです。
モデル身長154cm
INNER：SUSURI
ポエータハイネックセーター
PANTS：LENSE
Skirt Trousers β LIMONTA Cotton Nylon
同じものを2つ組み合わせる事で
全く異なる何かに変化を遂げる。
究極にシンプルで使い勝手の良いシャツ同士が
この不思議な形になる未来は想像もし得ない。
その落差こそがデザイナーの意図する所です。
＊ONLINESHOPでご希望の際は
「Submit Shirt」からお好きな生地を選んで
2枚分カートに入れてください。
LENSEデザイナーに出会って間もない頃
沢山の面白い仕掛けがあるコレクション並びに
シンプルでベーシックなコートを作っていたので
「このコートはなぜ作ったのですか？」
不思議でならなくてそう聞いたことがあります。
「この何でもように見える
ただシルエットが綺麗なコートを作れるからこそ
凝ったデザインや面白い事をしても良い
そのために必要な証明書のようなものです」
「ピカソはちゃんとデッサンが出来るからこそ
ゲルニカをはじめ面白い絵を描いても素晴らしい」
とても納得いくロジカルで分かりやすい例え
それはこのシャツとドレスにどこか似ています。
何年経っても展示会の度に
そのロジカルな思考とパターンに納得と安心をし
毎展示会未だに驚愕に近い仕掛けが必ず隠してある。
モデル身長154cm
INNER：SUSURI
ポエータハイネックセーター
PANTS：LENSE
Skirt Trousers β LIMONTA Cotton Nylon
左半身はSabmitオーガンジー＋
右半身はSubmitタイプライター＝Dimeric Dress
個人的におすすめの組み合わせですが
組み合わせにも着こなしにも正解はありません。
全てが正解なのです。
「着てみたい」そう思ったらそれが正解です。
最後の最後に元も子もない事を言ってしまうと
言葉を添え過ぎる事は
LENSEに相応しくないと思うことがあります。
来春夏展示会で最も印象的だったシャツたちに
店頭での予約会を終えて今こうして添える
僕の言葉は追いつけているのかと不安になります。
シーズンを追う毎にLENSEというブランドが
ファンを増やし続ける理由
彼のルーツを示す美しいパターンメイクという
ただそれだけの一義的な理由だけではなく
着れば着るほど様々な魅力に気付くからでしょう。
僕の不安をよそにファンの数は増えるのです。
きっとこのシャツたちが世に放たれる度
僕からまた1つ不安を消し去り
また1人とファンを増やしてくれる
それだけは信じて疑わないのです。
ONLINESHOPでもご紹介中です
ぜひご利用ください。