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その小さな灯火

2018.09.18|Blog

今秋冬susuriがテーマに選んだのはロシア。

ロシア出身のアンドレイ・タルコフスキーの映画

『ノスタルジア』にインスパイアを受け

「Light a candle」とテーマ付けた今秋冬susuriコレクション。

 

 

「一本のロウソクの火を消すこと無く

泉を渡りきることができたならば世界が救われる」

映画の大きな主題のクライマックスに向かいながら

「映像の詩人」と評されるタルコフスキーならではの映像は

まるで夢の中の出来事のように霞にかけた

モノクロームやセピアの世界に

時折訪れる現実のように鮮明に色が現れては消えていきます。

 

 

susuri

Rubashka Onepiece

M(one)size

¥45,000+tax

 

モノトーンに浮かび上がるベージュイエローとビビッドレッド。

まるでかすかな灯りの気配が本当にそこにあるかのような

墨黒のベースと残像のように残る白のモノトーンの対比は

色の在り処を鮮明にそして強く印象づけています。

 

どこか懐かしい感覚に誘われる草木のプリント図案。

それは古い書物の中で描かれた挿絵のような雰囲気で

心の引き出しの何処かにあるノスタルジーをくすぐります。

 

美しくプリントが乗る布地は滑らかな証拠です。

生地そのものは真夏以外に着用可能な生地感で

しなやかさと柔らかさが併せもった上質な質感は

着心地の良さを視覚でも感じていただけるはずです。

「Light a candle」のテーマに沿う象徴的な

テキスタイルはもちろんsusuriオリジナル。

 

 

スタンドカラーとセンターから少し横に外した前立て。

ロシアの民族衣装に着想を得たワンピースには

今シーズンsusuriが新たに取組むブロッキングが施されます。

 

異素材感を主張するコットン別珍のブロッキング。

あえてパッチという表現ではなくブロッキングとしているのは

ベースのプリント生地の上から貼り付けているのではなく

パズルのようにそれぞれの布をパーツ縫製しているからです。

縫製工場泣かせのとても手間のかかる作業です。

 

更に詳細に見るとショルダーのブロッキングパーツは全て曲線で

肩線から袖に介入しているのでとても面倒な縫製になります。

 

一枚で仕立てられたブロッキングは肩に馴染むように美しい。

ウエスト部分はダーツでは無く外付けでアウトタックを取り

あえて見える方法でわずかにシェイプを入れたデザイン。

 

もう一度前からすーっと流れるようなさりげないシェイプ。

肩と呼応して女性らしい柔らかな曲線の連続と

ウエストタックから裾にかけての美しいスカートシルエットの

始まりを告げる予感のようにドレープの起点になっています。

 

近づいてみるとこんな感じです。

 

共布で仕立てたベルトを結わえるとクラシカルな印象に。

更に美しいドレープとブラウジングを楽しめます。

???

背面にも中心からずれた位置に別珍の前立て。

ドロシーシャツコートに始まる常に背面を意識したデザイン。

susuriのアイコンとも言えるお馴染みの背面の遊びが

さりげなく印象的で着る人を楽しい気持ちにしてくれます。

 

全てのボタンに採用されている別珍の包みボタン。

タックでつなげた袖カフには2つのボタンが並びます。

 

SHOES:OFFICINE CREATIVE Lace up Boots

秋の訪れ一枚の美しさを思う存分楽しんで。

花柄のような甘さはなく色数も抑えているので

柄物をきてみたいという方にもおすすめな一着です。

 

OUTER:TOWAVSE「Permanent TOWAVASE」

Silk Hand Stitched Quilt Jacket(sold)

SHOES:OFFICINE CREATIVE Lace up Boots

カーディガンや短め丈のアウターでスカート使い。

 

 

まるでプルオーバーのように見える前立てデザインですが

実はフルオープンスタイルです。

 

INNER:susuri Chin Collar Onepiece

SHOES:R.U.「Jo」One Lace 2way Lace Long Vamp Shoes

秋を楽しむおしゃれな羽織ものの一枚として。

ワイドパンツやデニムでマニッシュなコーデでも◎。

 

 

 

susuriをファーストコレクションからの全て

約6年に渡り見続けていることから言えば

ここ2年のsusuriにはあきらかな変化が見られます。

 

コレクションの殆どがオリジナルのテキスタイルになり

国内の機屋を巡り染色の現場に足を運ぶだけでなく

量産に向かない個人のニット作家との共作服で

新しい既製服のカタチを表現し驚かせてくれます。

そして今回のブロッキングをはじめとして

こちらが想像しない新しい試みを毎回仕掛けて続けてきます。

 

ちょうど時を同じくして

poefuを訪れてくださるお客様から

「susuriのお洋服を見に来たのですが。。。」

という名指しのご指名をいただくことが多くなりました。

 

映画『ノスタルジア』の中で世界を救うための

ロウソクを運ぶ主人公はタルコフスキー自身を

描いているのではと評論家は分析します。

 

同時に私にはその映画の主人公とタルコフスキー

susuriデザイナーがクロスオーバーしてならないのです。

 

振り返るとその抽象濃度が高いお洋服に

言葉につまり続けたsusuriに出会って間もなくの6年前。

この映画「ノスタルジア」も同様です。

具体的な何かをつかめないままに

不思議と心に残像のように刻まれる映像美の記憶。

 

 

一本のロウソクの微かな灯火に照らされた世界。

モノクロームの中にぼんやり浮かび上がった果実は

鮮やかな赤色であったことを教えてくれます。

 

一本のロウソクの微かな灯火に照らされた世界。

モノクロームの中にぼんやりと浮かび上がったお洋服は

迷走するアパレルを救うのかもしれません。

 

ONLINESHOPでもご紹介しております。

是非ご利用ください。