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2021.04.04

第三の男

2021.04.04|Blog

毎シーズン沢山いただく

ブランドやメーカーに

作家さんからの新規オファー。

既存お取引先と展示会時期が

重なることなどもあり

幾つかの僕自身が決めた

ハードルを越えていない限り

展示会に赴くことはありません。

 

いつものようにある日突然

届いた新規オファーのメール。

「LENSE」

聞いたこともないブランド名。

ネット検索してみても

殆ど何の手がかりも得られません。

僕自身が設定する幾つかの理由を

飛び越えてきた訳ではありません。

文末に書いてあった一文。

それが全ての始まりでした。

 

「24時間アポイントOKです」

 

24時間アポイントOK……..

?笑?笑?の思考ループから

「さては自宅兼アトリエだな」と

すぐさま気付きましたが

敢えてこれを書いてきた事に

何かしらの良い予感を感じて

展示会に伺うことに決めました。

 

学芸大学に迎えに来てくれた

デザイナー田村匠さん。

古着のコックジャケットに

コンバースを履いた

眼光鋭い金髪の華奢な若者。

見た目で人を判断しては

いけないと思いながらも

第一印象は正直なところ

あまり良くありませんでした笑

 

学芸大学の住宅街の一軒家。

やはり想像していた通り

1階はショールームとして

2階は制作場所

3階を住居にしています。

さて….肝心要はお洋服

初対面はいつも緊張します。

 

LENSE FOR poefu

Linen Wool Flare Coat

black / charcoal

0 / 1 size

¥59,400(tax in)

 

極限まで削ぎ落としながら

「〜コート」という名前や

定番定義にとらわれない

アウターを作ってみたかった。

ただあくまでもシンプル

その言葉は当てはまらないと

言葉を続けるデザイナー。

 

ラウンドネックラインなのに

どこか甘さを感じること無い。

削ぎ落とす過程中の作為で

何かがそうさせているのか。

そんな事を想像してしまう

絶妙に計算しつくされた

点幅や前下がりのネックライン。

 

ウエスト上部

やや高めに位置する

ウエストベルトは

取り外しが可能です。

バックルにはベークライト調の

エステル系素材のものが使われ

ノスタルジック且つクールです。

 

まるで意思を与えられたかのような

美しいAラインシルエット。

生地↔デザイン↔パターン

それぞれがそれぞれを

尊重し合いながら三位一体化する。

削ぎ落とした静寂の彼方

かすかに聞こえる流麗な音の如く。

 

(モデル身長154cm 1size着用)

INNER:eleven 2nd

Silk Round Neck Knit

SKIRT:Pois E FOR poefu

「OPERA」Skirt

SHOES:Vialis FOR poefu

Pointed Toe T-strap Shoes

 

あまり良くなかった第一印象など

一瞬でかき消されてしまう。

24時間アポイント?笑の先

やはり予感は間違っていなかった。

美しいパターンメイクだけでなく

デザイナーらしく饒舌ではない

言葉の一葉のどこかが不思議と

腑に落ちて目の前にある

お洋服たちと符合していく。

中々得難い面白い感触です。

 

LENSEデザイナー田村匠さんは

誰もが知る世界的ブランドでの

パタンナー8年のキャリア後に

独立した新人デザイナー。

 

「ゴーシュ」「TOKIHO」に次ぐ

パタンナー出身のデザイナーは

poefuでは3人目となります。

つまり「第三の男」というわけです。

 

リネン51%ウール49%の

ウエザークロスは尾州産の糸を

遠州地方で仕立てたもの。

こちらはウールと言っても

サマースーツなどに使用される

梳毛ウールなので真夏以外の

季節に着用可能な生地感です。

経糸のウールは双糸使い

緯糸は単糸のリネンです。

実はこのフレアコートは

この生地在りきで

デザインされています。

 

black / chrcoal

落ち感のある経糸ウール

ハリ感ある緯糸のリネン。

贅沢な要尺使いの裾周りの

大掛かりな手まつりが

とてもやりやすいという

とても興味深い理由です。

実はLENSEデザイナーは

パターンだけでなく

サンプルから本生産まで

自身で縫製を手掛けます。

素材を見てレシピを考える

まるで料理人のようです。

 

もちろん料理人ではなく

大学では建築を専攻し

アパレルはほぼ独学で

パタンナーの歩みを始め

縫製までをこなす天才肌。

それはきっと影なる

努力だけでは叶わないはず。

「第三の男」の

新たな物語の始まりです。

 

 

ONLINESHOPでもご紹介中です。

引き続きお楽しみ下さい。